東京高等裁判所 昭和38年(ネ)1361号 判決
(一) 前段認定事実によると、「控訴人先代弥五郎が、昭和二年春頃本件土地所有者赤津仁太郎の承認を得て、本件土地に杉苗木一、五〇〇本ないし一、六〇〇本を植え、弥五郎および控訴人は成育した立木の下刈をなし、これを間伐した。赤津仁太郎は下刈、間伐について何の異議も述べなかつた。」のであるから、弥五郎は、赤津仁太郎から本件山林を用益する権限を与られて、本件山林に植林したものである。そうだとすると、右用益する権限がいかなる権利にせよ、弥五郎は、本件土地に権限に基づいて植林したものであるから、その成育した立木は控訴人先代弥五郎の所有に属し控訴人は相続によりこれが所有権を取得したものである。
(二) 控訴人は本件立木の所有権は明認方法を施さずとも被控訴人らに対抗できるものと主張するのでこの点を判断する。
樹木はこれを土地に植栽すれば、仮植である場合を除き土地に定着してその構成部分となる。従つて、その土地の登記は地上の立木に対する権利をも包含して表示している。もしも、樹木を植栽した者が土地の所有者から土地使用の権限を与えられておれば、明認方法等の措置を講じなくても、土地の所有者に対し立木の所有権を主張できることは当然である。しかし、その土地を地上の立木を除外することなく買い受け、かつ、土地についてその旨の登記を経た第三者に対して立木の所有権を主張し得るためには、明認方法等の措置を講ずる必要がある。したがつて、明認方法を施さなかつたことを自認する控訴人は、本件立木の所有権を、立木と共に本件土地を買受け、これにつき所有権移転登記手続を経た被控訴人らに対抗することはできない。
(渡辺一 岡田 和田)